成果の出る勉強方法を考える

勉強方法を振り返る

 勉強はやっているつもりなのに、なかなか成果が出ないという人は、勉強のやり方に原因があるのかもしれません。今回は、結果につながる勉強方法について考えていきます。

人に説明できるように勉強する

 勉強しているはずなのに頭に入ってこない、記憶してもすぐに忘れてしまう。そんな人はもしかしたら「インプット」ばかりになっていて「アウトプット」が不足しているかもしれません。
 インプットとは、脳の中に情報を入れる、つまり「入力」することです。それに対して、アウトプットとは、脳の中に入ってきた情報を脳の中で処理し、外界に「出力」することです。 具体的にいうと、教科書を読むのがインプットで、問題集を解く、テストを受けるのがアウトプットです。理解した内容を友人に説明するのもアウトプットです。最も理想的なのは「インプット3:アウトプット7」の割合です。
 さまざまなアウトプットの中でも、特に人に説明するという行為は恰好のトレーニングになります。また、人に説明することで、圧倒的に記憶に残りやすくなります。というのも、人に教えることを前提に勉強することで、曖昧なままで理解したつもりになったり、意味も考えずに機械的に暗記したりすることがなくなるからです。相手を納得させるため分かりやすい説明をしようとすると、理由や意味、前後のストーリーまで含めて把握している必要が生じます。これが結果的に「覚えやすく忘れにくい」という効果につながるのです。
 分からない問題を友達に質問して教えてもらった、という経験があると思いますが、たいていの場合、教わる人より教える人の方が勉強になっているものです。実際に人に教える機会があるかどうかは別として、勉強する際にその内容を誰かに教えることを意識してみてはどうでしょうか。

寝ないで勉強するのは「非効率」

 試験直前などに「一夜漬け」をするという人もいるかもしれませんが、学習効率の観点からは全くおすすめできません。ある研究では、6時間以上の睡眠をとらないと、勉強した内容が記憶として定着しづらいことが明らかにされています。一夜漬けをしようという人は、とにかく翌日の試験さえ乗り越えられればいいという考えなので、記憶が定着しなくても構わないのかもしれません。しかし、当然のことながら、試験が終わった後もその知識は必要になる(続く単元で使う、将来の入試で必要、等)ので、結局いつか再び勉強することになり、時間と労力の無駄になります。

一度にすべてを覚えようとしない

 人間の脳は基本的に忘却するものです。たとえば24時間後には、覚えたことの7割近くも忘れてしまうのだそうです。頑張って覚えたつもりでも、一度きりの学習では、すぐに記憶から抜け落ちてしまいます。一度にすべて覚えようとするのは、脳のメカニズムから考えても非常に非効率的なのです。つまり、何かを覚えようとするなら、何回も繰り返すことが重要だということです。
 例えば、暗記の勉強をする際には、前日に暗記した内容をなぞってから今日の分を覚える。そして次の日には前の2日分を繰り返してから新しいものを覚える。それを1週間分で1セットにして、月末に4セット分を総確認する・・・このようにすれば同じものを結果的に何度も覚え直すことになるので、頭に残りやすくなります。1日に大量に詰め込むのではなく、少量ずつ何度も繰り返して暗記量を増やすということです。

スマートフォンを身近な場所に置かない

 勉強中、机の上にスマートフォンを置くのはやめるべきです。実際に使用していなくても、スマートフォンが身近な場所にあるだけで集中力が阻害されることが、複数の研究で証明されています。これは「友達からメッセージが来ているのではないか」「動画を見たいけど我慢しないといけない」など、意識が自動的にそちらに向いてしまい、脳の認知能力の一部が消費されてしまうからだと考えられています。勉強する時には完全に勉強だけの環境にして、集中しやすい状況を作ることが大切だということです。